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伊藤 眞子(いとう まこ) 青森県五所川原市出身のフルート奏者兼指導者。 青森明の星高等学校音楽科を経て、東京藝術大学音楽学部器楽科フルート専攻卒業。
東京都・伊藤眞子フルートリサイタルVol.2の様子
地元・青森をこよなく愛し、日常的に津軽弁で訛りながらも、活動拠点は日本各地。平成24年度五所川原市教育委員会文化顕彰で文化奨励賞(個人)を受賞。FM五所川原等のメディアにも出演。
現在、ソリストとしてソロや室内楽・オーケストラでの演奏や、また指導者として、コンクール審査員や後進の指導にも力を入れるなど、活動内容は多岐に渡る。
コンクール受賞歴は、第14回日本ジュニア全管打楽器コンクールフルート部門高校生コース第2位。第17回びわ湖国際フルートコンクールアドヴァンス部門第3位。第66回全日本学生音楽コンクール東京大会本選フルート部門高校の部入選。第8回仙台フルートコンクール高校生部門第1位。第21回びわ湖国際フルートコンクール一般部門入選。さらに、特別賞として武者小路千家賞を受賞する等、多数。
主な演奏歴は、2016年4月、第32回Japan Prize (日本国際賞)授賞式にて上皇上皇后両陛下ご臨席のもと御前演奏。
同年9月には、故郷である青森県五所川原市にてフルート界の巨匠、故・William Bennett氏と共演。
さらに、2017年4月、サウジアラビア王国にてジャパン・フェスティバル・オーケストラ首席フルート奏者に抜擢され、フルート演奏のみならず、ソリストとして青森発祥の登山囃子の笛を用いて日本伝統音楽の魅力を披露。観客を魅了し華々しく国際デビューを飾る。
2017年サウジアラビア王国でのソロ演奏の様子
新型コロナウィルス感染症が世界を翻弄した2020年以降も、東京にてピアニスト・石橋尚子氏との初のソロリサイタルの開催や、J.S.バッハの無伴奏作品とモーツァルトのフルート四重奏という意欲的なプログラムでのリサイタルを成功させる等、活発な活動を展開している。
これまでにフルートを増田多加、竹澤聡子、堀井恵、神田寛明、萩原貴子、高木綾子、竹澤栄祐、Alena Walentin、藤井香織、高橋聖純の各氏に、フラウト・トラヴェルソを前田りり子氏に、室内楽を須川展也、小畑善昭、伊藤圭の各氏に師事。
STORY
〜ただの田舎娘がプロフルーティストになるまで〜
1.幼少時:田舎娘、フルートに憧れを抱く。
私は北の豊かな大地・青森県に生まれ、元々はごく普通のただの田舎娘でした。
そんな私が「なぜフルートを始めたい」と思ったのか、そのきっかけは誰にでもある身近な物でした。幼少時に見たテレビ番組です。「某少女アニメ」のフルートを吹くキャラクターが好きになり、チャンネルそのままで次の時間に「某クラシック音楽番組」が放送されるという、素晴らしい導線でした。人が吹くフルートの音をテレビ越しに知り、あっという間に虜になり、「大きくなったらフルートを吹きたい」と思うようになりました。
2.中学:夢に描いていたフルートとの出会い。
時を経て、ようやく中学の吹奏楽部でやっとフルートを手にすることができました。初めて音が出た喜びは忘れられません。それからは持ち前の探究心と向上心で、自分で考えて練習することで、様々な技術を身につけることができ、純粋に愛情をかけて努力すればするほど、その分だけフルートが応えてくれたことが嬉しかったです。それは今も変わらない考えで、そんなフルートが今も昔も大好きです。
3.これまでの数々の苦悩・乗り越えられた唯一の理由。
実は、今まで沢山の苦労がありました、例えば、初めはフルートを習うことを反対していた母を行動・結果で説得させるところから始まりました。3年もの年月をかけて、やっと説得できたと思ったら、今度は田舎なので先生がいなくて困り果て、僅かなチャンスを見つけ次第、その都度勇気を持って飛び込み門を叩いたり、近年では新型ウィルス感染症のため生き方を真剣に考えたりと数えきれません。
これまで私が何だかんだ乗り越えられた唯一の理由は「ひたすら音楽への真っ直ぐな思いを持ち続けていたから」だと思います。今までの私の行動の全てがベストではなく、もちろん人間なので間違いもあったかとは思いますが、その時々の状況の範囲内で出来る最善のことをその都度探し、実行してきたからではないかと考えています。
4.今後の夢:音楽と社会の共存・地域に貢献できる人間。
なぜそのような夢を抱いているのか、その理由は自分の体験にあります。コロナ禍で何年かぶりに帰省した際、施設に入居中の大好きな101歳の曽祖母に向けて、たった15分の面会時間の帰り際に一曲、J.S.バッハの「G線上のアリア」を演奏しました。演奏中、私がフルートを吹いている人だっていうことを忘れるくらいボケてしまっていた、そんな曽祖母の目から涙が溢れ止まらなくなりました。精一杯の拍手をしてくださり、感情がぎゅっとこもった「ありがとう」の一言をいただきました。その時、音楽は特定の富裕層や音楽家だけのためにあるものではなく「音楽は人間に必要。そして音楽は本来、地球上に生まれた全ての人のために広くあるべきものなのだ」と曽祖母が身をもって気付かせてくれました。この尊い経験以来、いつも大切に私の心の中に抱いています。
今後は「皆のためにある素晴らしい音楽」そのものの良さが世に広まるよう、今大変な音楽業界・社会に貢献したいです。「敷居が高すぎて緊張し、敬遠してしまう」というよくあるハードルを下げ、顧客に寄り添いつつも、音楽そのものが持つ良さが純粋に広まることをしたいです。また、いろいろな企業様とコラボし、社会の中に芸術が存在意義を持てるようなことをしていきたいと考えています。